MARIA LIVE TOUR 2006 We are "MARIA" @ BIGCAT 2006.08.16

いうほどオタオタしくなかったなあ

かつてはZONEのなかでも比較的目立たない天然素材なMAIKOだったが、あのまいちんスマイルという凶器を振りかざし、ついにはメンバー内で最も支持を集めるまでに成長を遂げた彼女なのだが、2005年のエイプリルフールに惜しまれつつZONEは解散。それから約1年半後、新バンドを結成し現在ツアー中の彼女なんですが、そこにいたMAIKOはもはやかつてのMAIKOではなく、いや確実にMAIKOなのだが、なんか声が、もう。なんというかメタメタな声になっていて、おもいっきり喉を潰しており、声だけ聴いてると一体どこの内田有紀かと思うくらいの酒焼けのハスキーになっていた。


ZONE時代はメインで歌う事が少なかったこともあり、実はツアー2日目にして既に潰れていたというその声は、まだメインボーカルとしてやれるだけの身体に仕上がっていない未完成な状態なんだろうなと思ったのだが、そういや彼女たちのデビュー曲に「この声届くのかな? 私はここにいるの 声が枯れるまで歌うから」というのがあって、なるほど!そうまでして彼女はデビュー曲に懸けた想いを我々に伝えようと、声が枯れても果たしてその声が届くのかどうかという、これは彼女なりの体を張ったパフォーマンスでありメッセージであるのだと即座に解釈。まいちんに上島竜平を見た。


元々ネガティブ思考の強い彼女なので、万全でないコンディションにひどく落ち込んで悔しがってることは容易に想像出来るし、また昔から見てきたファンにとってはその変貌っぷりに戸惑いを隠せず心配した人もいると思うのですが、おれとしてはむしろこの事がいつまでも亡霊として付きまとっていた「ZONEのMAIKO」を断ち切る良いキッカケになるのでは?と思った。MAIKOから舞衣子としてのリニューアルがようやく成されるんではないかと。


ハスキーな酒焼けまいちんはなかなか魅力的でそれだけでロックだと思った。かつて内田有紀も声がアレなことになってからのが魅力が増したではないか。まいちんとていつまでも純情可憐乙女模様ではないのである。内田のTENCA取りの話はさておいて、個人的にはそのハスキーボイスは治らないままでいてくれる方が良い。ハスキー大好き。そういやもう一人のメインボーカル愛華も声が潰れてたな。メイン2人がメタメタてどんなバンドだ。あと何故かドラムのTATTSUとキーボードのれいなも声が枯れていてその付き合いの良さに泣けた。つーか君らが枯れる意味が分からない。


そんな満身創痍なライヴだったんですが、前半はバラード系のナンバーでかため後半はアップテンポで休み無く走る構成。楽曲は全て彼女たちのオリジナル。まだシングル2枚しか出してないので当然ほとんど知らない曲ばかり。随分無謀なツアーなんだけど、でも結構楽しかった。ぶっちゃけ先行シングルが正直あまり良いなと思えなかったんで、ツアーも過度に期待してなかったんですが。


メイン2人は御世辞にも良い状態とは言えなかったし、れいなが披露したバイオリンも正直アレというか音はずしまくりで飛び道具としての意味があまりなかったし、ツインベース云々とは言うものの実際には「ベースが2人いる」というだけで特にツインベースを意識させられる見せ場もあまりなく、まあ色々探せばあるのだが、いわゆるシーケンスの類に頼ることなく全部自分達の音で、しかもほぼ未発表曲で勝負するその度胸と熱意はそれだけで十二分に楽しめた。つまりZONEではないというその姿勢が。


今回の収穫はドラムのTATTSUだな。他のメンバーが時折フラフラすることもあるなか、TATTSUは終始はしることも目立ったミスもなく非常に頼れるリズムを刻んでいた。正直彼女のお陰で比較的安定した演奏が出来ていたと思う。なんかSHOW-YA角田美喜にもちょこっと指導してもらったらしい。いやTATTSUは良いよ。MARIAの要は間違いなく彼女だろう。


タオルをブンブン振り回し(そういう曲があるのだ)おれの顔にバシバシ当ててくる奴がいたり、ビョンビョン飛び跳ねまくって(そういう曲があるのだ)体ごとぶつかってくる奴がいて、つくづくこういうイベントは難儀だなと思ったが、ベースを抱え(何故かマーカスミラーモデル)にこにこ微笑むまいちんスマイルの前ではなにもかもが帳消しにされる。なにもかもだ。


しかしリーダーは間近で見ると異様な迫力があるな。リーダー以外みんな小柄で華奢だから(まいちんのウエストの細さは異常)いっそう屈強な風貌が際立っている。しかもアフロだ。アフロで塩沢ときみたいなグラサンだ。極めて孤高すぎる。