再生YMOのアルバム

 YMO / TECHNODON
実は持っていなかった。これが出た当時は高校生でリアルタイムで聴くことが出来た唯一のYMOがこのアルバム。しかし内容が当時の自分にはよく分からず、というか面白くも何ともなかったので買わずにレンタルで済ませてた。


で、10年以上が経つわけなんだが、とうとうつい先日に中古CD屋で新品として売っていたのを買った。2000円した。この2006年において「テクノドン」に2000円も出すなんて日本中どこを探してもオレしかいないだろう。オンリーワン。もちろんブックオフで常に100円で売られているくらいの現状は把握している。でも、そこで2000円なんだよ。2000円を出すんだよ! THE ORBの東風リミックスを定価で買ってしまった当時を思えばどうってことはない。なんだって出来る。あんな東風は、ない。


もう数年前からその中古CD屋で、新品としてこのアルバムが2000円もの価格で売られていて、その強気な価格を見るたびいつもニヤニヤ笑っていたのだが、まさか自分が確保することになるとは夢にも思わなかった。店側もまさか2000円で買うバカが現れるとは思わなかっただろう。試合に勝って勝負で負けたような気分です。


リリース当初は馴染めませんでしたけど、その後の東京ドームでのライヴCDを聴いたり後藤繁雄のインタビュー本を読み合わせたりしてようやくこれはこれで面白いんかなと思えた。今聴き直してみてもつまらないとは特に思わないなあ。無愛想な曲ばかりだけど。ギスギスピリピリした三人の関係がそのまま音に反映されてるのがわらえるし。しかしその互いに踏み込まない微妙な距離感、その辺は実にYMOだなあと思う。そういう意味ではこの「テクノドン」ってかなりYMOらしいアルバムとも言える。考えたらYMOって昔からツンデレだよな。


このアルバムは三人ともに再結成する動機が無いまま企画だけが進行したことで有名ですけど、そのせいかコンセプトを見出すまでに相当苦労したんだろうなあというのが、イルカやバロウズやギブスンだの外部から色々とアイデアを拝借して組み立てているところに現れていると思う。まあそうでもして体裁を立てないことには、アルバム制作が順調に進まなかったんだろうなあ。当時の三人の気分というか音楽観はそれぞれ異なっていたし、共通の音楽言語を持ち合わせず確認出来ないまま見切り発車で作られたのが「テクノドン」だと思う。お互いが同じ方向を向くまでには、ここからあと10年かかることになるんだよね(;´Д`)


まあそんななので、アルバムとしてはかなりパッチワーク感が否めない色んな方向を向いている曲ばかりで、教授なんかは「後世に残せるような名曲が作れなかった」と述懐したり、商業的には「失敗」ということになっているけれど、でも楽曲自体はアシッドやアンビエントとして質の高い楽曲が残せていると思うので、100円で買えるなら買った方が良いよ。オレは2000円出したけどな。