大日本人

大日本人の感想を書くとアクセスがバンバン!つまんないっていう感想を書くと必死な人がコメント欄に!という話を聞いたので早速見に行き感想を書くつもりだったんですが、紆余曲折いろいろあって何故か「そのときは彼によろしく」を見ることになってしまったので「そのときは彼によろしく」の感想を書きます。

アクアプランツの店“トラッシュ”を営む純朴な青年、遠山智史(山田孝之)。ある日、彼の店に元トップモデル森川鈴音(長澤まさみ)が訪ねてくる。彼女の強引な申し出により、奇妙な共同生活を始めるハメになった智史だが、しばらくして彼女が幼なじみの滝川花梨であるという事実を知って愕然。改めて再会を喜ぶ智史は、13年前の少年時代に思いを馳せる。智史、花梨、そして画家になることが夢だった五十嵐佑司の3人は、廃バスの秘密基地でいつも一緒に遊んでいた。そんな彼らもやがて、離ればなれとなり、それぞれの道を歩んで月日は流れたのだった。智史と花梨の再会から程なくして、音信不通だった佑司(塚本高史)の居場所が判明する。彼は交通事故で昏睡状態のまま病院に収容されていたのだ。ところがそんな折、花梨の悲しい秘密が明らかになり……。

そのときは彼によろしく@ぴあ/シネマ

長澤さんの悲しい秘密っていうのを掻い摘んで言うと、長澤さんは子供の頃から「眠ると目が覚めなくなる」という難病に冒されている設定で、薬でなんとか眠気を抑えてきてるんだけどそれも徐々に効かなくなってきたと。自分の生命が残り僅かだと悟った長澤さんは、最期にずっと連絡が途絶えていた幼馴染みで初恋相手である山田孝之の所へ13年ぶりに逢いに行った、という流れ。


大体眠ると死ぬっていう突飛な設定からして色々なモノがファンタジーで描かれている映画なんだけど、なんつうか「泣ける映画」の行き詰まりを垣間見たというか、難病モノもここまでくるとオカルトだよなあ、と。全般的に「ファンタジーだから!別にいいじゃん!」っていうことで、色々な出来事が都合良くウソみたいなスマートさで展開されていくんだけど、ファンタジーって別に何でもありな設定が許される為の方便じゃなくて、ファンタジーがファンタジーとして成立するにはそれ相応のリアリティさを伴った設定に裏打ちされていないと生きてこないというか、ホントに都合の良い絵空事でしかなくなるような気が、するんだけどなあ。ファンタジーとして逃げ切るには説得力が無さ過ぎな脚本だったように思う。荒唐無稽であることがファンタジーではないでしょうに。あと後半に山田孝之の父親役である小日向文世が病床に伏せることになって死ぬところも、多分親子愛とかを描きたいシーンなんだろうなあとは思うんだが、その死がなんかあまりにも唐突で強引にねじ込んだような描写すぎて、随分雑な死に方だなあと思った。でもありえないラストの為に死んどかないといけないんだよなこれ(;´Д`)伏線の為に無理矢理。


で、色々あって結局長澤さんは寝てしまうわけです。目が覚めなくなります。この辺でちょっと面白かったのが、この後長期にわたって病院のベッドで長澤さんは眠り続けることになるんですが、その間に山田孝之が彼女を見舞うたびに瓶詰めにした水草を病室中ズラーッと並べていくんだけど、それがかなり気持ち悪くて(;´Д`)いつか目が覚めると信じて通い詰めるノイローゼ気味な山田孝之っていう部分が一瞬見て取れて良かった。良かったんだけどそこはもっと徹底的にドラマ版「セカチュー」の時みたく、ウジウジした煮え切らない山田孝之を魅せて欲しかった気もするな。


そして眠ってから5年が経過するんですが、まあ流れからいったらこのまま長澤さんは寝たきりで山田孝之どうすんだよって話になるんですけど、幼馴染みである塚本高史が「彼女はこのままお前に待ち続けてもらうのを望んでるのかな?」的なことを言うんですよ。だからいつ目が覚めるとも分からない彼女を前にして、これから山田孝之がどのように現実を受け入れ生きていくのかっていう、そういう流れになるもんだとばっかり思っていたらなんとながさーさん!5年ぶりに目覚めやんの!!!もうね、リアルに椅子からずり落ちずにはいられませんでした!なんでも死んだ小日向文世に、夢の中で山田孝之をよろしく頼むと言われ、その言葉を彼に告げるために目覚めて戻ってきたんだそうです。この辺のくだりが急展開すぎて5年ぶりっていう感慨とかまったく無いんだよね。ひどい。ファンタジーっていうレベルじゃねーよ。まだ夢オチとかの方が良かった。


長澤まさみを見るための映画として「セカチュー」はまだ値打ちがあったけど、この映画に関してはそれすらも無かったなあ。長澤さん含め全員がなんかフワ〜っとしてて、眠ると目覚めないっていう設定や小日向文世からのメッセージにもまったく重みが無いんだよなあ。見所と言えばアクアプランツショップ内の水草がキレイだなあとか、そんくらいだなホント。


エンディングにシバサキさんの曲が流れるんだけど「虹色のプリズム」とか「オニバスの種から新芽が出たとき」とか歌詞がまんま映画の内容をなぞったフレーズばかりでわらった。
http://www.youtube.com/watch?v=69KzQis8f7w